ペイウォール戦略の最前線とクリエイターエコノミーの限界:Scribble #20

『Scribble』は日曜の朝に届く「ニュースレター」のニュースレターです。ニュースレターに関する話題や発見をお届けします。今週は、ニュースレターのペイウォール戦略の最新動向について。
長谷川翔一 2022.04.24
読者限定

こんにちは。ニュースレターについてのニュースレターScribble(スクライブル)です。

少し休んでいる間に、ニュースレターのマネタイズに関連する記事がたくさん出ていました。気になったニュースを紹介していきます。

Quartzがペイウォールを廃止

2万5000人の有料会員を抱えているアメリカのビジネスメディア「Quartz」が、有料サブスクリプションのペイウォールを廃止し、全てのコンテンツを無料にしたそうです。

“ペイウォールでアクセスを制限して「中がみたい」という読者を増やすのではなく、沢山のコンテンツに触れてもらって、媒体に対するロイヤリティを上げる方が得策だ”
https://media-innovation.jp/2022/04/20/quartz-drops-paywall/

QuartzのCEOは「Quartzのジャーナリズムを可能な限り利用しやすくすることで、壊れた世界と経済の秩序を修復するというQuartzの使命を達成することに繋がる」と述べています。

"ペイウォールを廃止した理由についてスワード氏はPress Gazetteに対して、「読者がメンバーシップにお金を払う最大の動機は、Quartzが好きで、私達の提供する真にグローバルで思慮深いビジネスジャーナリズムをサポートしたいというものでした」と述べています"
https://media-innovation.jp/2022/04/20/quartz-drops-paywall/
***

ニュースレターサービス「WISS」が7月31日にクローズ

一方で、国内では堀江貴文氏のレターなどで話題になったニュースレターサービス「WISS」が、2022年7月31日にクローズしました。

2021年7月1日にローンチしたので、ちょうど一年間。

多くの著名人が参加し、著名人自身のツイートからのシェアなどは一定あったようですが、記事を読んだ方からのシェアは(少なくともオープンな場では)多くありませんでした。

個人的には「有料ブログの域を出ず、ニュースレターならではの価値創出につながっていなかった」と感じています。

(「有料級のコンテンツ」という表現があるように)コンテンツのマネタイズでは「いかに情報に金銭価値があるか」が大事だと思われがちです。

しかし、WISS・Quartzのニュースを見る限り、「なぜニュースレターを出しているのか?」「そのニュースレターはなにを目指しているのか?なにを変えようとしているのか?」「読者はなにに課金することになるのか?」のストーリーを最初に作ることの方が大事なことがよく分かります。

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クリエイターエコノミーの限界

そもそも、コンテンツありきのクリエイターエコノミーは厳しい状況です。海外でさえ「トップニュースレターであっても90%超は無料版を購読している」というデータがあります。

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