ペイウォール戦略の最前線とクリエイターエコノミーの限界:Scribble #20
こんにちは。ニュースレターについてのニュースレターScribble(スクライブル)です。
少し休んでいる間に、ニュースレターのマネタイズに関連する記事がたくさん出ていました。気になったニュースを紹介していきます。
Quartzがペイウォールを廃止
2万5000人の有料会員を抱えているアメリカのビジネスメディア「Quartz」が、有料サブスクリプションのペイウォールを廃止し、全てのコンテンツを無料にしたそうです。
“ペイウォールでアクセスを制限して「中がみたい」という読者を増やすのではなく、沢山のコンテンツに触れてもらって、媒体に対するロイヤリティを上げる方が得策だ”
QuartzのCEOは「Quartzのジャーナリズムを可能な限り利用しやすくすることで、壊れた世界と経済の秩序を修復するというQuartzの使命を達成することに繋がる」と述べています。
"ペイウォールを廃止した理由についてスワード氏はPress Gazetteに対して、「読者がメンバーシップにお金を払う最大の動機は、Quartzが好きで、私達の提供する真にグローバルで思慮深いビジネスジャーナリズムをサポートしたいというものでした」と述べています"
ニュースレターサービス「WISS」が7月31日にクローズ
一方で、国内では堀江貴文氏のレターなどで話題になったニュースレターサービス「WISS」が、2022年7月31日にクローズしました。
2021年7月1日にローンチしたので、ちょうど一年間。
多くの著名人が参加し、著名人自身のツイートからのシェアなどは一定あったようですが、記事を読んだ方からのシェアは(少なくともオープンな場では)多くありませんでした。
個人的には「有料ブログの域を出ず、ニュースレターならではの価値創出につながっていなかった」と感じています。
(「有料級のコンテンツ」という表現があるように)コンテンツのマネタイズでは「いかに情報に金銭価値があるか」が大事だと思われがちです。
しかし、WISS・Quartzのニュースを見る限り、「なぜニュースレターを出しているのか?」「そのニュースレターはなにを目指しているのか?なにを変えようとしているのか?」「読者はなにに課金することになるのか?」のストーリーを最初に作ることの方が大事なことがよく分かります。
クリエイターエコノミーの限界
そもそも、コンテンツありきのクリエイターエコノミーは厳しい状況です。海外でさえ「トップニュースレターであっても90%超は無料版を購読している」というデータがあります。