ニュースレターの持つ、メディアのマネタイズへの可能性:Scribble #14

『Scribble』は日曜の朝に届く「ニュースレター」のニュースレターです。ニュースレターに関する話題や発見をお届けします。今週は、ニュースレターがどうウェブメディアの有料化につながっているかについてお送りします。
長谷川翔一 2022.02.20
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こんにちは。

先週は、「TECHCRUNCH JAPANとエンガジェット日本版が終了」という、なかなか衝撃なニュースがありました。いろいろな考察がされていますが、「ウェブメディアのマネタイズ戦略の日米の違い」を、ニュースレターの活用という点で考えを巡らせてみます。

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そもそも海外ウェブメディアの多くは、「有料会員」を主要のマネタイズモデルにしています。

これまでも紹介してきた海外の記事を見ても、「どうやって有料会員化するか、それに寄与する戦略・戦術を持っているか」に多くの知恵と経験が割かれています

一方、国内のウェブメディアの多くは、「広告モデル」をマネタイズの主としています。PVを増やし、掲載した広告からの収益です。

国内の大手メディアになると、スマートニュース、Yahoo!ニュースのような外部配信のニュースサービス経由が多く(雑誌系メディアになると倍〜数倍のPVがほとんど)、露出=利益は、ある意味で理にかなっています。これは、ニュースやトレンドネタなどの速報性に強いメディアで多いモデルです。

ストック型のメディアでは、Google検索流入からの会員登録や申し込みのようなモデルも主流です。こちらは、比較系やHowToなどの知識系のネタに強いメディアで多いモデルです。

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ただ、この2つのモデルには、それぞれ致命的な欠点があります。

一つは、流入経路が「外部」に握られること。

流入経路が外部に委ねられるデメリットは、検索エンジンのアルゴリズム変更やニュースアプリの変更により、流入が一気に得られなくなる可能性があることです。いつ、売上が激減するかわかりません。

もう一つは、読者満足度が売上に直接つながっていないこと。

例えば、ページを分割したり、センセーショナルなタイトルや話題を扱ったり、広告をたくさん配置したり、やらせや嘘の記事、ステマの記事であっても、PVや広告露出が増えれば売上は短期的には増えます。

逆を言えば、「読者を満足させる記事」を作ったとしても、必ずしもそのメディアは儲からないモデルです。

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一方で、海外は、「有益な情報は有料で当たり前」「無料会員を継続的に獲得し続ける戦略や仕組みをどう設けるか」「どう有料会員化させるか」「有料会員をどう満足させ、購読を継続させるか」という戦略に重きを置いています。

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  • ニュースレターには、熱心な読者を生み出す効果がある
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  • ニュースレターには、有料購読者を維持する効果がある

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