The New York Timesと朝日新聞の購読登録オファーの微妙だけど重要な違い:Scribble #15
こんにちは。
このレターですが、「サブクライブだっけ?」と間違われます。「Scribble」と書いて、「スクライブル」と読みます。今日はこれだけでも覚えていってください。
コンテンツではなく、メディアそのものを覚えてもらう、正確に印象に残るのって難しいですね。
今回、「国内新聞とThe New York Timesのデジタル版のサブスクリプション戦略の違いを知りたい」というお題を頂きました。
有料購読を増やす上で、コンテンツそのものよりも発信者(メディア・レター)そのものの支持を増やす重要性について紹介していきます。
デジタル化を進める朝日新聞社とThe New York Times
The New York Timesは、2022年2月に有料購読者1,000万件を突破し、目標を3年前倒しで達成しました。通期決算は売上高が16.3%増の20億7,487万ドル(約2,365億円)で、純利益は2.2倍の2億1,997万ドルだったそうです。マネタイズもトラフィックも好調の様子です。
朝日新聞は、国内新聞社のなかでも、特にデジタル化やマネタイズの変化に取り組んでいる一社です。
データを利用したコンテンツ改善やデリバリーの取り組み、メディアごとのマネタイズ、働き方まで、デジタルを組織全体に取り組んでいこうとしているようです。
上記記事で、サブスクリプション戦略とニュースレターに関する部分がありました。
「イブニングA」というニュースレターも昨年6月から始めている。夜8時過ぎに、翌朝の朝刊の主な記事をニュースレターとして有料会員の読者に届けるというサービスだ。
それ以外にも読者が希望したニュースレターが届けられ、昨年新設された12種類を含め、20種類がメールで送られている。
朝デジは昨年、購読コースの改編も行った。ほぼすべてのデジタルサービスを利用できるスタンダードコースを新設し、さらに新聞紙面のかたちで読む「紙面イメージ」なども付いたコースをプレミアムとした。
3番目の機動報道チームの活動はどういうものか。「朝デジはサブスクリプションと言われる課金モデルですが、有料会員を継続的に増やしていくのは簡単でない。ユニークユーザーが思うように増えていないのが実情です。
そのユニークユーザーやPVをどうやって伸ばしていくかが差し迫った課題で、そのために、今までやっていないような取材をやろうと作られたのがこのチームです。
朝日新聞でも、マネタイズモデルの変化、有料会員の増加にはなかなか苦戦しているようです。こうした取り組みには、時間がかかります。The New York Timesをはじめ、海外のニュースメディアが上手くいっているのは、単純に時間によるところも多いはずです。
ただ、会員登録案内を見ていると、もう一つ違いそうな点があるなーと思い始めました。
まずは、朝日新聞とThe New York Timesの登録導線の違いを比べてみます。
登録導線・ハードルの高さの違い
朝日新聞の有料会員の登録導線のメインは、この形です。有料会員限定記事の途中まで見られるようにして、続きを会員限定にする形ですね。
https://www.asahi.com/articles/ASQ346JK0Q2RUHBI017.html
The New York Timesは会員限定記事を読んでいると、途中から会員登録のバナーが出てきます。一番違うのは、画面全面に出ていることですね。
正直、The New York Timesの全面に出すやり方は、個人的な好みではなく、日本ではこのやり方はあまり上手くいかないのではと思います。
案内文にも違いが見えてきます。
・朝日新聞:有料会員になると続きが読める・「1ヶ月無料」という特典
・The New York Times:アドレスを入れて会員登録すると続きを読める・「Support independent journalism」というテキスト・「See subscription options」の提示
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